雑記 夢はいつしか人を喰う。

トイレに入るとササキさん(仮称)が泣いていた。

鏡に映ったササキさんの顔はぐしゃぐしゃに歪んでいた。

何事かと声をかけえたら「タマエがほかの男に許したんだ」と答えが返ってきた。

ああそうですかと言いかけて言葉を飲み込んだ。

どうやら本気で泣いてるようだった。

タマエというのは便器である。

何かの比喩としての便器ではなく、TOTO製の便器である。

4階南側の階段そばにあるトイレの便器にササキさんはタマエと名付けたのだ。

この職場は一言で言えば修羅場だ。

数ヶ月前、ササキさんはぼくに良いリフレッシュ方法があると言って便器に女性の名前をつけるように勧めてきたのだった。

「トイレ休憩をとるんじゃなくて、彼女に会いに行くんだと思えば良いリフレッシュになるだろ?」とササキさんは笑った。

つまるところ他の男に許したというのは、先輩がタマエと名付けた便器で誰かが用を足したということであろう。

公共の便器であるからして当然の事なのだがササキさんは大真面目に泣いていた。

小刻みに震える背中を見ながら、ああこの人もイっちまったのかと一月ほど前の出来事を思い出していた。


便器に手を突っ込んで呆然としている先輩を見た。

財布でも流したのかと思ったら「うんこ流しちゃった」という答えが返ってきた。

呆然と私を見上げた先輩の目は、焦点が合っていなかった。

ササキさんもうんこ流して途方にくれてた先輩と同じ地平に行ってしまったのだろう。


こんな風になる前に仕事変えなきゃな。

ふと見た鏡の中のぼくの目は、なんとなく焦点があってないように思えた。

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